無意識に・・・・あなたを求める。











A Storm Hit You 1
















「ハイネーッ!!!!」



仲間が乗ったグフ。
それは今まさに、AAとフリーダム・・・・キラの戦闘への介入によって、連合のMSであるガイアに討たれる・というところだった。
思わず仲間の名を叫ぶアスランだが、当然その声はグフ・イグナイテッドの搭乗者である―ハイネ・ヴェステンフルスには届かない。
ハイネ自身、背後から迫り来るガイアに気付きながらも相手の速さと、不意をつかれた事によって、咄嗟には動けず・・・・。
彼に待つのは死のみか・と誰もが諦めた時だった。
ガイアの刃がグフと貫こうとする寸前、ガイアとグフの間に一機のMSが立ちふさがったのは。
それは、つい先程までグフとガイア・・・・両方と戦い、勝利を収めた・先の大戦の隠された英雄・・・・六枚羽根の天使・フリーダムだった。
フリーダムは素早くガイアの足を取り、打ち抜いた。
動けなくなったガイアは、フリーダムに抱きかかえられている。
一瞬のことに言葉をなくす人々。
しばし戦場は呆然となった。
そして、ハイネは理解する。
自分の命が救われたことに―。















一方、ガイア内ではステラが悪態をつきながら暴れていた。



何なんだ!!!?何で自分が負けるんだ!!!!?



勝たなきゃいけないのに。
勝たなきゃ・・・・ネオに嫌われる・・・・っ!
それだけは・・・それだけは嫌だっ!!!!



そう思い、ステラがガイアの自爆コードを押そうとした時だった。
画面に見知らぬ青年が映し出されたのは。
その人物は、静かな声でステラに尋ねる。



「君が・・・・ガイアのパイロット??」



その声の余りに透き通った声に。
その人の、余りの美しさに。
ステラは呆然となる。
懐かしいような・・・何故か安心感を与えてくれる、その人。
ステラは、いつのまにか画面の青年に見入っていた。



「一緒に来てくれるかな?」



青年にそう尋ねられると、ステラは頷く。
何故かは解らない。
でも・・・・・この人なら、自分達を傷つけない―そう思ったのだ。
それは、例えるなら居場所のなかった幼い子猫が、飼い主を見つけた時のような。
迷子の子供が、親に会えたときのような。
そんな安心感。
そんな温かさ。
欲しかったものが、そこにある。
欲しかったものを、与えてくれる。
そんな直感にも似たものだったのかもしれない。



「・・・・・・・・・・・・アウルやスティング・・・・・・ネオも一緒??」



それでも、コレだけは聞いておかなければ。
自分だけがこの人のところにいけば、ネオが悲しむ。
スティングやアウルにも会えなくなる。
それだけは・・・絶対にいや。


そう思って、ステラが恐る恐る聞いてみるとその人は、一瞬驚いて・・・・それから、儚い微笑みを浮かべながら答えてくれた。



「スティングにアウル・・・・あの2つの機体の操縦者だね?大丈夫だよ。彼らも連れて行くつもりだから。」
「・・・・・・・・・・・・ネオは?」
「ネオさんは・・・・いずれ、AAに来るよ。でも、今じゃない。あの人には、やらなきゃいけないことがあるから。・・・・・・・実を言うとね、ネオさんから頼まれたんだ。君達を・・・頼む・って。だから・・・・。」



その人はそう言って、悲しそうに笑った。
私は、その人のその笑顔を見て・・・・堪らなく悲しくなる。
何故だろう?
何故だろう?
名前も知らない人なのに。


泣かないで。
泣かないで。
言葉が、私の中に溢れてくる。
それはいつしか大きな渦になって、私を支配していく。
泣かないで・・・キラ。
私の想いが・・・・私の本当の想いが・・・・あなたを守るから―。















「大丈夫?」



ステラは、その声にハッとなる。
・・・・・今のは一体なんだったのだろうか?
止め処なく溢れてくる、あの想い。
あれは、この青年と何か関係があるのだろうか??
解らない。
解らない。
唯一つ解っているのは、自分がこの人のところに行かなくちゃいけない・ってことだけ。



「私・・・・ステラ。ステラ・ルーシェ。ねぇ・・・・あなたのお名前は??」


ステラは青年に尋ねる。


なんか、尋ねてばっかり。私。
だから、いつもアウルに馬鹿にされるのかなぁ・・・。
・・・・でも・・・もっと知りたいんだもの。
この人のこと。
だから・・・良いよね?


ステラが尋ねると、相手は快く名前を教えてくれた。



「・・・キラ。・・・・キラ・ヤマトだよ。」
「キラ・・・。」



ステラはその名前を呼ぶ。何度も・・・・何度も。


キラ。
キラ。
キラ・・・・。




その名前を呼ぶたびに、胸がほわっとする。
何なんだろう?
キラの顔を見ると、ドキドキするの。
キラの声を聞くと、安心するの。
キラが傍にいるだけで、幸せな気分。
ああ、世界って・・・こんなに綺麗だったけ?
キラがいるだけで、大好きな空はもっと大好きになる。
キラがいるだけで、何もかも愛しく思えるの。
何なんだろう?この気持ち。
ネオとは違う、スキの気持ち。
ねぇ?キラはこの気持ちについて尋ねたら・・・答えてくれるかしら?