贖罪の言葉よりも


懺悔よりも何よりも、


   あの仔を助けて。

















「ルナ・・・・・ごめん。」










シンが、アスランをそして私の妹を討った人間が私の横を通り過ぎるとき、そう呟いた。

止まっていた涙が、また溢れて止まらない。




何で、ごめん?
何に、ごめんなの??




軍人だもの。

私だって軍人だもの。

命令なら、敵なら殺す。

それは絶対的なもの。

そう、理性では解ってる。


でも。

でも、感情は追いついてくれない。


憎しみと怒りと悲しみと絶望と。

渦巻く暗い感情が、決して大人しくなることは、無い。

今にも爆発しそうで。

ああ、あの紫電の瞳の持ち主が言ったことは、こういうことだったのか・と。

遅まきながら理解する。















必死で、抑える醜い憎悪。

それでも、止まらなかった。

止まれなかった、この感情。

だから、私は振り向いて呟いた。

その背中に向かって。








彼が苦しむ、一言を。

















「・・・・ステラって子は助けたのに、あの子はメイリンは・・・・助けてくれなかったのね。」


















まだ幼さを残すその背中が、強張る様が見て取れる。

その様子に小さな愉悦を感じた、愚かな自分がそこにいた。


















ああ、あなたがえいゆうというのなら。
あのこを、
わたしのたったひとりのいもうとを。
どうかどうかすくってください。