密やかなるい。









「いやぁぁぁっ!死ぬの・・・死ぬの怖い・・・・っ!!!!」


AA中に響き渡る幼い少女の、絶叫。
それと共に、医務室内にある様々な物が彼女によって破壊されていく。
薬品棚も、ベッドも何もかも。
薬品は投げられた。
ベッドもなぎ倒された。
明らかに尋常じゃない、その力。
そのことと彼女の着ている軍服から、彼女が連合の強化人間であることが伺える。


死にたくない死にたくない死にたくない。


少女の悲鳴が聞こえるたびに、AAのクルーたちはつらそうに目を細める。
それでも、背けようとはしない。
背けることなど、できない。

誰だって

何だって

死ぬのは恐ろしいものなのだから。


かつて、自分たちも死が恐ろしくて恐ろしくて恐ろしくて。
一人の少年の心を犠牲に、生き延びた。

わかっていたのに。
その少年の心が、どんなに病んでいたか。
自分たちの心が、どんなに腐敗していたか。
わかっていながら・・・・目を、背けた。

生きるために。
死なないために。
敵を、殺して殺して殺して殺させるために。

あんなにも優しい、優しすぎる心を。
自分たちは一体何度、刃で貫いただろう。

それなのに。
それなのに。
彼は自分たちに笑いかけるのだ。

罵り孤立させ傷つけ親友と殺し合わせ同胞を殺させ信じなかった
違うものと見て決め付けて見ようとしなかった知ろうとしなかった憎み妬み苦しめ涙し褒め讃えた・・・・人殺し、と。

そんな仕打ちをした、自分たちに。
彼は今尚、笑いかけてくれる。

これほど嬉しい事があるだろうか?
これほど辛い事があるだろうか?

切なくて切なくて泣きたくなって哭きたくなってそれでもその想いを呑み込み、笑顔を返す。




今度は、もう間違わない。
あの狂気と憎しみと血に塗れた過ちは、二度と繰り返さない。






そう、誓って。




死ぬのが怖い・と泣き喚く少女にゆっくりと歩み寄った。















しはだれにでもびょうどうだから
おそろしくておそろしくて
えたいがしれないものにおびえてる
わたしたち。

それでも、ねがわくば
しにくるわせられないで。