最期に、君へ贈る言葉を |
議長の言う、ディスティニープランを止めるべく、ミネルバと交戦するAA。 キラはその闘いの中、以前オーブ戦で見たプロヴィデンスに良く似た機体―レジェンドを発見した。伝説と名づけられた、その機体からは2年前にこの手で討った男と同じ気配を感じる。それでも、それは別人なのだ。彼は。 ラウ・ル・クルーゼは、己以外信じていないように感じた。愛することも、愛されることも知らない。 でも、今目の前にいる機体のパイロットは間違いなく、(偏った感じではあるが)愛するということを知っているように思えたから。 それが、嬉しくて悲しくて。 愛を知って、愛されて、未来があって。でも、その幸せは短く儚い。堪らなく、て。抱きしめたくなった。母の代わりに、無機質な温かさを与えてくれた試験管の様に、彼を。 レイと言うのだとアスランに聞いた。レイ。その名を呼んでみる。でも、彼は知っているのだろう。自分が、自分以外の何者にもなれないことを。自分が、アル・タ・フラガのクローンであってそれ以上でも以下でもないことを。 あぁ、父さん。あなたは、あなたという人は。 何という悲しい生き物を、作り出したのですか? でも、思うのだ。 命は一つしかなくて、だから彼は彼で僕は僕だと。 それを彼に伝えたかった。どうしようもない運命に翻弄され、それが全てだと思っている、彼に。 その名は君のものだと。 その命は、君だけのものだと。 僕の言葉は、君に届いただろうか? |
きみはきみであっていいんだよって だきしめてささやきたかった ひとりぼっちのきみと、ぼくのために |