散る花びら、抱きしめた |
ひらひらひらひら、 それはまるで、散っていく花びらのように―。 彼女は私にそっくりだった。 彼女が私の姿をしていること、それに特に怒りは感じなかった。 感じたとすれば、彼女自身よりもその背後へ。 少女を利用し、己の世界の為に人を欺き、利用する男への純粋な怒り。 そしてあるのは、ただただ深い悲しみと、その言葉に導かれる群衆への寂しさだった。 実際に逢えた後は、双子の姉妹が出来たようで嬉しかった。 銃声に怯える彼女を抱きしめる。 震える手が、愛しかった。 守りたい、一緒にもっと話がしたい。 そう、強く思った。 でもその願いはもう、叶えることは出来ない。 彼女は私の代わりにその身に銃弾を受けたのだ。 撃ち抜かれた彼女は、くるくるとまるで花びらのように舞って、地面へと堕ちた。 駆け寄って握り締めた手に力は無く、彼女の命が長くないことを物語る。 悔しかった。悲しかった。怒りを感じた。 討った相手ではない。その命令を出したあの男。 そして何より、闘うことの出来ない自分自身に。 キラの様にモビルスーツに乗り、不殺を貫くことも。 アスランのように銃撃戦を繰り広げることも。 メイリンのように己の身を自ら守れることも出来ない、自分が。 何よりも憎らしかった。 歌だけで、世界は守れない。 それは知っている。私の言葉など、一体何になるというのだ。 目の前で消えていく少女の命一つさえも守れない、そんなものが。 それでも、私は闘わなければならない。 何一つ闘う術を持たなくても。 例え、己の代わりに他の命を散らすことになったとしても。 他の命の為に、己を散らすことになろうとも。 闘って、みせる。 大天使から宇宙へと流された、一輪の華の欠片を抱きしめて。 |
散ってしまったあなたは 今もこの腕の中に |