3、鳴らない電話 |
どれだけ待っても、お前はいない。 「―――――・・・・ッピーーーーー、はい、ミリアリアです。只今、留守にしています。ご用件のある方は、ピーーーっという発信音の後、お名前とご用件をおはなs」 留守電のメッセージが全て言われる前に、電話を切る。 機械音で、あいつの声を何回聞いただろう。 きっと、もう数え切れないくらい聞いている。 そうじゃなくて、 そうじゃなくて。 生身のあいつの声が、聞きたい。 聞いて安心したい。 名前を、呼んで欲しかった。 呆れた感じで、それでも労わってくれる様な包み込んでくれるような優しい、その声で。 俺の名を。 あいつの名を。 名前を、呼びたかった。 壊れるくらいに、擦り切れる程強く。強く強く強く強く強く。 抱きしめ、たかった。 連絡を入れても、返事は来ない。 今、何をしているのか。 今、何を想っているのか。 それを伝える、ただ一つの手段である目の前の電話は。 鳴る素振りすら、見せないままだった。 |
まちつづけてもまちつづけても きみはこなくて ぼくはひとりきりでさびしくて きみのなまえをよんだよ ちからいっぱいさけんだんだ |