「・・・・・・・・・・・カガリ、」
「なっ、なんだ!?キラ!!」
「カガリ、僕のプリン食べた?」
「え・・・・っ!?」
怒りを露にした声で自分を呼ぶ弟を、初めて本気で怖いと思った。
Heresy
事の発端はカナードの買ってきたプリンだった。
仕事で遠出していた彼が、土産にと買ってきたそこでしか売ってないという幻の一品。
カナードはたまたまだ、と言っていたがカガリは知っていた。
以前キラが食べたいと呟いていたことも、そこのプリンは自家製なので少数販売しか出来ず、開店前から数時間以上並ばないと買えないことも。
つくづく、キラに甘いと思う。
自分も、兄も。
そのお土産に、案の定キラはとても喜んで。
カナードが嬉しそうに微笑んだのを、カガリは見た。
キラも本当に喜んでいて。
思わずカガリは苦笑し、執務部屋へと溜まった仕事を片付けるため、戻ったのだった。
それが、今から11時間前のこと。
明け方になってようやく仕事を終えたカガリは、何か甘いものが食べたいと、冷蔵庫へ向かった。
そこで見つけたのだ、昼間の幻のプリンを。
封は切ってあったし、キラも食べただろうから自分も一つ位良いか、と箱からプリンを取り出す。
スプーンを入れると、とろり・とカスタードが溶け、見るからにおいしそうだ。
思わず、スプーンに食いつく。
「〜〜〜っ!流石だな、うまい!」
あまりのそのおいしさに、今度からオーブの国家予算で買い占めようかと、カガリは密かに計画した。
あっという間に一つ食べ終わってしまう。
もう一つ・・・といきたいところだが、残りは2つ。これ以上食べたらキラが怒るだろう。
同い年の弟を思って、カガリはそっと冷蔵庫の扉を閉めた。
その背後に、なにやら怪しいものが蠢いているのを、知らずに―。
そして、朝。
冒頭の会話に戻る。
「・・・・やっぱり、カガリが食べたんだね・・・。」
俯きながら殺気を放つキラに、カガリは慌てて訂正する。
「いや、確かに1つ食べたけど・・・全部は食べてないぞ!?ハウメアに誓っても良い!信じてくれ、キラ!!」
「・・・・・・・・そこまで言うなら・・・・でも、じゃあ誰が食べたんだろう?」
う〜んと唸る2人。
その後ろでは、カナードが朝食を作っている。
キラとカガリは暫く考えていたが、カナードの作る料理の匂いに負け、テーブルに着いた。
「まあ、とにかく見つけたらただじゃおかない・・・・僕のプリンの仇・・・・。」
「私も手伝うぞ!キラ!!」
箸を持ったままガッツポーズを決める弟と妹を見て、カナードは半ば呆れながら、2人に声をかける。
「キラもカガリも、朝食が冷めるぞ?それに犯人なら、今2人の後ろにいるが。」
「「え?」」
そう、カナードが指し示す先には・・・・・・
「やあ!僕のマイスウィートエンジェル達!!今日は君たちの手料理を堪能しに来たよ☆」
紫色のきもい奴が身体をくねらせながら、立っていた。
思わず、カガリはバズーカ。カナードはハオペリオンで。
そして、キラはフリーダムを以って、目の前のプリン泥棒・・・・もとい、きもい物体を消し炭にしたのであった。
〜後日談〜
「カガリ・・・ごめんね?疑っちゃって・・・・・」
「全然良いよ、キラ。気にすんなって」
「・・・・・ありがと、カガリ。」
「おう!」
「カナードも、買ってきてくれてありがとね?」
「・・・・・ああ、」
「僕、カガリもカナードも大好き!」
こうしてより一層、仲良くなったヒビキ三兄弟でしたとさ。
拝啓 天国のお父さん、お母さん。
今日も、ヒビキ家は平和です。
■□■
あわわわわ・・・・・遅くなりました!風華様!!こんなんでよかったら、貰ってやってくださいませ〜<汗
本当、もう駄文でお目汚しいたしましたーっ!
煮るなり捨てるなりしてやってください・・・・・・・・・・・・・・・<泣
2005・9 すごろ.く(das
Unbedingte)